迷子の瑠璃ウサギ

・◆・◇・ 人生に 迷い迷って幾星霜 ・◇・◆・

books

ジヴェルニーの食卓

西洋絵画に興味がある人向けの小説。 全部で四編。 ドガの『踊り子』に関する話は知っていたが、 こうして物語として読んでみると、心にズッシリくる。

エプロンおばさん(1)

アニメ『サザエさん』のような、まったりした漫画だろうと思っていたら、 たまに時事ねたが入っていて驚いた。 それでいて、さらっと読めるのが良い。

現代実例 社寺建築の細部意匠

筆者が設計監理をした建物の、細部意匠文様図集。 木鼻に始まり蟇股、瓦、錺金具、天井文様等々、 美しいデザインがてんこ盛りの一冊。 ただ、社寺建築の勉強をしている学生向けらしく、 詳細な説明はない。

アップルソング

ある女性報道写真家の一生を、 史実を織り交ぜながら追った小説。 語り手とのつながりがなかなか明かされないので、 重い内容ながらも、頁をめくる手が止まることはなかった。 「人間の本質は悪。人は人である限り悪と共に生きる。」 という言葉に考えさせら…

ニッポン地下観光ガイド

一般の人が見学できる地下施設を、 簡潔な解説と多数のカラー写真で紹介している。 ライフライン、実験施設・研究所、産業遺産、洞窟・鍾乳洞、戦争遺産と、 幅広く網羅。 アクセスも載っており、思わず行く計画を立てたくなる。

桜は本当に美しいのか

和歌の解説が長すぎて疲れる。 「桜は本当に美しいのか」についての考察はされておらず、 落胆した。

コサインなんて人生に関係ないと思った人のための数学のはなし

挿入されている漫画に、あまり意味がない。 面白いと感じたのは、 さしがね(曲尺)の目盛り、素数ゼミの話ぐらい。 公開鍵暗号に関しては理解できそうで理解できず、 残念だった。 「数学得意な方は立ち入り禁止」とあるが、 数学を毛嫌いしている訳ではな…

阿修羅のジュエリー

興福寺の阿修羅像が纏っている装飾品から話は始まる。 仏像だけでなく、西洋絵画にまで言及しているのがとても良かった。 全ての漢字にルビがふってあり、 子供に語りかけるような口調で書かれている。

「生きづらさ」を超える哲学

真に幸福なのは、生の中にいて生を望まない者だけである。 というのも、そうしてこそ重荷を軽くすることができるからである。 自分として生きるために、人は親から与えられた価値を否定し、 それを身にまとった自分自身さえも一旦否定しなければならない。 …

陰翳礼讃

表題作はなかなか面白かったが、 如何せん漢字が難しく、途中で挫折。 『恋愛及び色情』『客ぎらい』を飛ばして、 『旅のいろいろ』あるいは『厠のいろいろ』を読むべきだったか。

バナナブレッドのプディング

主人公が精神的に危ういこと、 所どころ哲学っぽいこと等など、 面白みの有る要素を内在している。 にもかかわらず、 今ひとつ作品に入り込めなかったのは、 読む時期が遅すぎたからか、 己の精神状態が悪かったからか・・・?

聖☆おにいさん(1)

『ブッダとイエスが立川のアパートでルームシェア』 という発想は、非常に面白いと思う。 ブッダの死因が食あたりだったとは知らなかったので、 一つ勉強になった。 しかし、爆笑するほどのギャグはなかったな。

東寺の謎

東寺や空海にまつわる歴史が語られており、 謎解き本という形式ではない。 千手観音の復元修理の話が大変興味深かった。 終章で突然文体が変わり、筆者の歩いてきた人生が語られる。 これが一等面白い。 荒れた高校を再建したり、幼稚園をつくったりもなさっ…

茶味空間。

利休が登場する以前は、茶の為に作られた茶道具というものが存在しなかった。 呼継ぎとは、欠けた器の一部に、 同じ種類だが全く別の器の破片をはめ込んで修復するやり方である。 室町時代、書院における茶のもてなしはフォーマルなもので、 別室で点てた茶…

瞳子

吉野朔実の『恋愛的瞬間』を読んで、少し惜しいなと感じ、 次に手をとったのが『瞳子』。 「誰も好きで生まれてくるわけじゃない」と言い放つ主人公にシンクロしかけたが、 自分とは違って、それなりに充実した生き方をしているのを羨ましく思った。 「必要…

野宿入門

著者が女性だというので読んでみた。 文章は拙いが、ちょっと変わった人で面白い。 これからは、自分も自信を持って外で寝ようと思った。

「闇学」入門

闇を求める気持ちが更に増した。

いわずにおれない

詩も何編か入っているが、 自分はもともと詩が苦手な方なので、 まど・みちお氏がインタビューに答える形式を取っている、 この本を読むことにした。 まど氏の人となりがよく分かる。 優しく謙虚。 抽象画も描いていらしたことを知った。

JIN-仁-(全20巻)

ストーリーだけでなく、 江戸時代の建物や調度品まで丁寧に描かれており、 十分に楽しむことが出来た。 ラストはやや駆け足の感もあったが、 うまくまとめてあると思う。

燈火の歴史

昭和40年頃に埼玉県で開催された『燈火の歴史展』の図録的新書。 この本だけでは理解できない部分もあるが、 古くは発火具から電燈・自転車の前照燈まで、 かなり多くの写真が掲載されおり、見ていて楽しい。

千利休

清原なつの氏の漫画。 知識を得るにも物語を楽しむにも中途半端な感じがした。

思い出の省線電車

競馬は戦前・戦中、国策に適うとして奨励されていた。 昭和15年、通学区間2km以内の定期券は不売となり、 電車通学をしたいため故意に住所を移す学生も。 昭和22年7月~23年3月は、GHQ命令でフィルム生産禁止。 首都圏中心の話ではあるが、 著者…

限界集落株式会社

ビジネスの難しさと、その先にある希望。 出来すぎだが、夢のある話で良いと思う。 東北の書店員さんによる解説も熱かった。

神道とは何か

廃仏毀釈を主導したのは、排仏思想を担っていた平田派及び津和野派の国学者・神職、 水戸学の同調者、そしてこれらの影響を受けた新政府が派遣した行政担当者たちだった。 神社信仰とは本来、氏族あるいは地域単位において、 恒例化した祭礼の反復によって実…

楢山節考

1編目の『月のアペニン山』がサスペンスっぽく進行していったので、 たまにはこういうのも良いなぁと思っていたら、 最終的には精神を患っている者に少々辛い話となった。 表題作『楢山節考』は2編目に収録されており、 途中おぞましさにおののいたが、読…

「粗食」のきほん~ごはんと味噌汁だけ、あればいい~

半分は対談で、残り半分がごはんと味噌汁のレシピ。 残念ながら、スボラを肯定してくれる本では全くなかった。 ご飯の炊き方からして、そんな手間はとてもかけていられない。

最後の版元 浮世絵再興を夢みた男・渡邊庄三郎

川瀬巴水展の会場で、その美しさに見とれると同時に、 版画における版元という存在を強く意識した。 これは、読んで良かったと思える本である。

妻が椎茸だったころ

変な題名なので、気になって読んでみた。 5編とも、私の琴線には触れなかった。

神仏分離の動乱

戦費の蓄積→藩は財政難→金のかかる僧侶を養えない→有害無益な存在→廃仏運動 *幕末の危急を救う理論として、仏教は指導的な役割を果たし得なかった。 仏教は伝来のはじめから国家権力と結びつき、その庇護のもと権力の座をほしいままにして来た為、 パトロン…

アマテラスの誕生

日本土着の四世紀以前からの文化を伝えるのは、イザナキ・イザナミ系神話。 五世紀に北方系の外来文化が入ってくると、ムスヒ系との二元状態に。 律令国家形成の過程で、時の為政者である天武天皇が選択したのは、 イザナキ・イザナミ系神話のアマテラスだっ…