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九州大学附属病院であった事件を元に書かれた小説。 良心や罪の呵責を感じないことを不思議がる研修医の存在が、 非常に興味深い。 何らの救いもなく、突如物語が終わってしまったのは残念だった。
桐野夏生編 心に残る物語―日本文学秀作選 初めは桐野夏生の作品を読んでみようと思ったのだが、 これを選んで良かった。 一冊で十人もの作家の作品を読むことが出来たからだ。 島尾敏雄『孤島夢』-ぼんやりとして物足りなかった。 島尾ミホ『その夜』-実話な…
前半で泣かされた。 後半は読むのがつらかった。 相手に寄り添うことが大事なのは解る。 ただ、その相手が自分の親だと、 過去のしがらみ等が邪魔をするのだ。
「植物たちの生き方に思いをめぐらせてほしい」 と願う筆者が、分かりやすく語りかけてくれる。 学生時代にこのような本と出合っていれば、 生物の授業も真剣に受けただろうと思うと、 非常に残念でならない。
今、改めて表紙を見ていたら、 『暮らしの絵本』と銘打ってある・・・。 道理でイラストが多いわけだ。 フォントは手書き風で、 新社会人の女性を対象にしているようだが、 ビジネス書に苦手意識のある人にもお勧め。
読まなければ良かった・・・。 読んでみたい本が、更に増えてしまったではないか。 今の自分には、そんな時間も気力もないというのに! それにしても、しをん氏の弟は随分と腹の立つ物言いをするのだな。 姉のことを「ブタ」と呼ぶなど、私なら絶対に許さん。
渋沢栄一の著書に挑戦する自信がなく、 タイムスリップ小説だと知った上で読んだのだが、 面白かったのは前半の幕末部分だけだった。 歴史や経済だけでなく恋愛まで絡めており、 起業物語というよりライトノベルの要素が強い。 その分、中高生にはとっつきや…
そう断言する根拠が分からない、 引用元が分からないため鵜呑みには出来ない、 という箇所があるものの、 アメリカの狡猾さには驚きを禁じ得ない。
食事、お見舞い、訪問、言葉遣い、お金、 あらゆる場面で役立つ内容が、コンパクトにまとめられている。 これら全てがマナー以前の問題なのだとすれば、 私は己を大いに恥じなければならない。
堅苦しくない分、読みやすい。 しかし、診療明細についてもっと知りたかった。
母集団と標本(サンプル)、統計とバイアス、モニタリングとシミュレーション等、 前半は文系の素人でもまだそこそこ楽しめた。 しかし、後半のテーマとなっている東電問題と復興政策に関しては、 統計とも確率ともほとんど関係がないように思う。 元官僚の…
寿命を延ばすことができると科学的に証明された方法は、 「腹七分目」に食べること。 食物を摂取するということは、 「極めて弱い毒を一生食べ続けること」であるという考え方も成り立つ。 「自分なりにリスクのものさしを持ち、 あるラインまでは受容する覚…
国会は唯一の立法機関であるはずだが、 現状では、中央省庁が法案を作り、 内閣が国会に提出して法律になることが多い。 国民自らが、権力者である政府、地方自治体に対して、 憲法を守らせるように不断の努力をしなければ、 憲法は「絵に描かれた餅」になる…
漢語と比べることにより、 大和言葉の奥ゆかしさや柔らかさが、 より一層感じられた。 位置付けとしては入門編かと思いきや、 親でも聞いた事がないという言葉も。 日常生活に和の表現を、 できるだけ取り入れてゆきたい。
盆石の歴史、作品の写真、打ち方が収録されており、 この一冊で盆石に関する一通りの知識が得られる。 日本の伝統芸術だそうだが、私は知らなかった。 更なる啓発を図ってはどうだろう。
憲法について学んだのは、中学3年の時だけではなかろうか。 それも、ほんの一部分。 とっつきにくいあの文章も、ぐっと身近に感じることができ、 更に深く知りたいと思った。
江戸時代の日本女性は、結婚すると眉を剃り落とし歯を黒く染めたが、 それは正妻だけの習俗であった。 日本女性の地位を低からしめている責めは仏教自体が負わねばならぬ。 仏教徒の教義、寺院の戒律、修道僧の禁欲主義の目には、 女性は誘惑、罠、不浄なも…
所々「うーん、それはどうかな・・・」と思う箇所もあったが、 自衛隊に関する考察には思わず膝を打ち、 著者の半生記には関心を深くした。 『羹に懲りて膾を吹く』『三方一両損』など知らない言葉が出てきて、 勉強にもなった。
植物として存在している楽園の住人が人間界へ落とされる話・・・ これで食いついた。 非常に面白い設定である。 しかし、私には合わなかった。 残念でならない。 グロテスクな描写に弱いことは分かっていたが、 毒も駄目らしい。
そういえば『レモン哀歌』しか知らないなぁと思い、読んでみた。 光太郎は智恵子との思い出を美化し、賞賛している。 それは、そうせずにはいられないからではないか。 私は光太郎の詩よりも、 「中途半端の成功を望まなかったので自虐に等しいと思われるほ…
やはりそうでしたか・・・と思う箇所有り、 ああそういう組織なのですねと思う箇所有り、 大変面白い内容だった。 お寺にそれほど興味がない人でも、 読み物として楽しめるのではないだろうか。
『殺人出産』『トリプル』『清潔な結婚』『余命』の4編を収録。 設定はなかなか面白い。 ただ、踏み込み方が少々物足りない。 まだ若い作家なので、 これからどんな作品を生み出してゆくのかが楽しみではある。
狛犬好きにはもちろん、別段狛犬に興味の無い人へもお勧めしたい本。 オールカラーで説明文は少なめ、なんと英訳付きである。 私はこの本で初めて、神懸かった狛犬を見た。
『山桜』退屈だと思っていたら、ある事実が最後で明かされる。 『マルスの歌』自殺を演じていて死亡、というのが衝撃的だった。 『焼跡のイエス』期待したような面白さはなかったが、戦後の雰囲気は味わえた。 『かよい小町』混沌とした中に、清らかな光が差…
すごい題名だが、内容は至って穏やか。 絵で見せるのではなく、 言葉で説明するのでもない。 こんなふうに旅立つことが出来れば、 一人きりで貧しくても、 きっと幸せに違いない。 「あなたがいなくても生きていける。でも、わたしたちは確かに繋がっていた…
「セメント樽の中の手紙」短い中にガツンとくるもの有り。 「淫売婦」これぞプロレタリア文学。 「労働者の居ない船」船に関する用語は分からないが雰囲気は理解できる。 「牢獄の半日」労働者の叫び。 「浚渫船」労働者の嘆き。 「死屍を食う男」突然のホラ…
著者の人柄がとてもよく分かるエッセイ集。 あたたかい気持ちに包まれる。 「君、明治生まれ?」のくだりには、 「仲間、発見!!」と思ってしまった。
現代の画一的狛犬に対して「こまやん」という愛称をつけたこの本の著者。 実にいい!!私を弟子にしてほしい。 メインはもちろん京都府内だが、他府県の狛犬の話も出てくる。 もはや、趣味の範疇を超えているのではないだろうか。 戦前、内務省が全国の官幣…
初めにモノクロ写真、後ろに各写真の説明が載っている。 写真集に文章は不要だ!という人も、 安心して御覧になれるのではないだろうか。 サイズが小さめなので、 画像そのものより、その作品が醸し出す雰囲気を味わった。 但し、自分が古い列車好きだからだ…
作家である小川洋子さんが何ゆえ科学に関する本を? という疑問に対する答えは、あとがきにあった。 子供の頃から、新聞で一番好きなのは科学の記事だったとのこと。 道理で内容が濃いわけだ。 しかし、文章がやわらかいので読みやすい。 学生時代にこのよう…